北アイルランドのまとめ情報

北アイルランド』の解説

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北アイルランド(きたアイルランド、英語:Northern Ireland、アイルランド語:Tuaisceart Éireann、アルスタースコットランド語:Norlin Airlann)は、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する「」(country)の一つである。アイルランド島北東に位置するアルスター地方9州の内の6州からなるためアルスター6州とも称されている。 面積は1万4139km²、2001年4月時点での人口は168万5267人。首都は東岸に位置するベルファストでその住民は24万人あまりである。

歴史

1920年に成立したアイルランド統治法によってアイルランドは南北に分割され、それぞれに自治権が付与された。その後に発生したアイルランド独立戦争の講和条約である英愛条約に基づいて、南部26州によりアイルランド自由国が建国され、グレートブリテンおよびアイルランド連合王国より分離した際は北アイルランドも自由国の管轄内に含まれていた。しかしアイルランド自由国で内戦が始まったため、英愛条約の条項に基づいて北アイルランド議会は自由国からの離脱を表明して連合王国にとどまることになった。

19世紀にアイルランドグレートブリテン王国に併合されて以来、アイルランドにおいてはユニオニスト(イギリスとの連合維持を主張)とナショナリスト(イギリスからの独立を主張)の対立が続いていた。アイルランド全土がイギリスに支配されていた時代から、北アイルランド地域はグレートブリテン島からの植民者が多数を占めておりユニオニストの勢力が強かった。また必ずしもアイルランド人即ちナショナリストではなく、経済的に考えると英国へ帰属したほうが有利であると考える者も多かった。このようなことが考慮されて北アイルランドはイギリス統治下に残留することになった。

1960年代後半になると、アメリカ合衆国公民権運動の影響を受けて、社会的に差別を受けていたカトリックと、プロテスタント主体の北アイルランド政府との対立が深刻化した。IRA暫定派を始めとするナショナリストとユニオニスト双方の私兵組織英陸軍北アイルランド警察が相争う抗争が続き、数多くのテロによって数千名にものぼる死者が発生するなど、この北アイルランド問題によって社会と経済の混乱は極めて劣悪なものになった。

1990年代になると和平への道が模索されはじめ、1998年になるとユニオニストおよびナショナリスト政党、私兵組織とイギリス、アイルランド両政府によってベルファスト合意が形成され、これに基づいて全政党が参加する北アイルランド議会が設置された。この功績によって、穏健派政党の党首であるデヴィッド・トリンブルジョン・ヒュームノーベル平和賞が授与されている。過激派によるテロが収まったことを受け、シティグループや富士通など、外国企業による新たな直接投資が相次ぎ、著しい経済成長を遂げている。

政治

1960年代に北アイルランド問題が発生する以前、本土の政党との関係で言うと、アルスター統一党保守党に代わり、アルスター自由党自由党に代わり、それぞれストーモント議会(The Parliament of Northern Ireland・旧議会)を支配していた。北アイルランド労働党については、本土の労働党と強い協力関係を有していなかった。この他、アイルランド統一を掲げるナショナリスト党シン・フェインが活動していた。

1960年代の後半から1990年代にかけ、宗教差別を発端としたユニオニスト、ナショナリスト両勢力の私兵組織が騒乱やテロを繰り返す、いわゆる「北アイルランド問題」が巻き起こり、1972年にストーモント議会が廃止されてイギリス政府による直接統治が始まった。この社会的混乱に各政党も強い影響を受けた。アルスター統一党は、サニングデール合意を批判して保守党との関係を断絶した。アルスター自由党は、自由民主党へと衣替えしたが支持を失い、現在、同盟党の姉妹政党に落ちついている。解党された北アイルランド労働党の一部の議員によって社会民主労働党が結党された。

近年になり、イギリスの主要政党が北アイルランドの選挙に参加しようとする動きが見られる。保守党は、1980年代の終わりから候補者を送り出しているが、ほとんど支持を得られていない。自由民主党は、同盟党を支援している。

ベルファスト合意から現在まで

現在の北アイルランド政府は、1998年ベルファスト合意によって設立が決定されたが、2002年から機能を停止している。同時に設置された北アイルランド議会(The Northern Ireland Assembly)も、一時は、党派間の対立によって機能停止に追い込まれた。2003年の北アイルランド総選挙においては、強硬派のシン・フェインや民主統一党が穏健派以上の票を獲得するなど、政治的対立が先鋭化する傾向も見られる。2007年3月26日には、シン・フェインと民主統一党との間で自治機能を同年5月8日より再開させることで合意が形成された。

北アイルランド議会における主要政党や、その議席数(2007年3月時点)については、北アイルランド議会#現議会を参照。

イギリス下院の総選挙においては、人口比に従って全646議席の内の18議席が北アイルランドに割り当てられている。2005年の総選挙によって決定した現在の議席数は、民主統一党が9議席、シン・フェインが5議席、社会民主労働党が3議席、アルスター統一党が1議席である。シン・フェインの議員は、女王への宣誓の拒否、統一アイルランドを正統政府と見なす、などの信念から議会に参加していない。

地理

次の6つの州(County)からなる。

ベルファスト以外にはロンドンデリーニュリーアーマーリスバーンが主要都市として挙げられる。世界遺産に登録されているジャイアンツ・コーズウェーコーズウェー海岸を始めとする観光地も多い。

経済

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北アイルランドの経済規模はイギリスの4地域中で最小である。主要産業は造船、ロープおよび繊維製造などであったが、次第にサービス業が占める比率が増加している。北アイルランド問題により長年の停滞を経験したが、近年ではイギリスとアイルランド共和国両国の好景気を受けて失業率が改善するなど落ち着きを取り戻しつつある。

人口あたりのGDPは19,603ユーロであり、北西イングランド地方やウェールズよりも多い。1986年に17.2%にも及んでいた失業率は現在4.5%にまで減少した。労働者の特徴として、他の英国内地域に比べて長時間勤務をおこなっていること、収入について性差が少ないことなどが挙げられる。

宗教

2001年に行われた調査では北アイルランドの住民の内45.5%がプロテスタントであった。この中には長老派アイルランド聖公会メソジストなどが含まれている。それに対してカトリック教徒は40.3%であった。その他の13.9%の住民は特定の宗派、宗教を有していない。

帰属意識

他の調査によると、住民の38%が自身をユニオニストであると規定し、同様に24%がナショナリスト、そして35%がどちらにも当てはまらないと回答している。全体の59%は長期的な視野にたった英国による北アイルランド統治を是認すると述べ、22%が統一アイルランドの形成を支持している。態度が不明確な層が存在するのは北アイルランド同盟党が一定の支持を受けていることからも裏付けられる。最近の選挙においては、54%が親プロテスタント政党に投票し、42%が親カトリック政党へ、残りの4%がそれ以外の政党に投票している。

アイルランド共和国国籍

2005年以前に生まれた全ての住民にはアイルランド共和国の市民権が自動的に与えられていた。これはベルファスト合意を受けて2001年に制定されたアイルランド共和国の国籍法の条項によっている。ベルファスト合意においては、イギリスとアイルランド両国が北アイルランドの全ての住民にアイルランド人またはイギリス人となる権利を与えるとある。現在でもこれは大多数の住民に適用されている。

文化

歴史的な経緯から、北アイルランドではイギリスとアイルランドの双方に由来する文化がみられる。言語は英語の他にアイルランド語とアルスター・スコットランド語が公用語として認められているが、現在では中国系移民の増加を反映して中国語が2番目の母語集団となっている。

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食事には特に特有のものはないが、アルスター・フライという朝食が著名である。ベーコン目玉焼きソーダパンまたはポテトパンからなる。

スポーツ

スポーツの分野ではアイルランドと合同で運営されている競技が多い。最も人気があるのはサッカーであり、少年向けの国際大会であるミルク・カップも開催されている。国際的に最も良く知られている北アイルランド出身選手であったジョージ・ベストは2005年に死去している。ラグビーの「アイルランド代表」は南北合同チームであり、サッカー以上に世界のトップレベルにあるため、これも非常に人気が高い。また、F1レーサーのエディ・アーバインマーティン・ドネリーも有名。ゴルフでは、グレアム・マクダウェルローリー・マキロイがそれぞれ2010年と2011年の全米オープンで優勝したほか、ダレン・クラークが2011年の全英オープンを制した。カトリック系住民の間では、ゲーリック・フットボールなどのゲーリック・ゲームスの人気も高い。スヌーカーでは、アレックス・ヒギンズ(1972年、1982年)とデニス・テイラー(1985年)という2人の世界チャンピオンを輩出している。

関連項目

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北アイルランド「ケルト」紀行―アルスターを歩く

ケルト音楽に興味があり、それらの理解の助けになるのかなあ、という軽い興味から、筆者が書かれた前作『スコットランド「ケルト」紀行—ヘブリディーズ諸島を歩く』読み進めたわけですが、本当に興味深いお話が続き、関心が深まりましたので、本書も手に取りました。日本人にとって「北アイルランド」というと紛争のイメージしかわきません。物騒な地域と言う先入観がぬぐえなかったのですが、「ケルト文化」の探求には、はずせない地域でもあるというのが本書によって理解できました。北アイルランドの「アルスター」地域を訪れた日本人はそんなに多くないと思います。

いわば未知の領域ですので、本書のような紀行作品がとても重要な意味を持つのは語るまでもないことです。筆者自身が撮られた多くの「ケルト」に関する写真は大変珍しく貴重なものでした。新聞記者として長いキャリアを積んでこられただけあって、分かりやすい文章が、門外漢には助かりました。北アイルランドの人々と筆者の交流を読むに連れ、筆者のフレンドリーな性格がまたその土地の方の心を開いたわけで、とても温かい気持ちが伝わってきました。プロテスタントとカトリックという宗教の違いと政治の対立を思うと「ケルト文化」の探求だけでなく、その文化の上に成りたっている北アイルランドの歴史の奥深さと現代のそれぞれの地域が抱えている問題がリンクするのも当然だと思いました。

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北アイルランド現代史―紛争から和平へ

とにかく詳しい!

(参考になった人 1/1 人)

北アイルランド紛争研究の第一人者、そして同国の和平プロセス立役者の一人と言えるポール・アーサー氏と歴史学者のキース・ジェフェリー氏の共著というだけあって、かなりの読み応えがあります。この紛争を年代順に羅列するのではなく、各章毎にテーマを設けて記述・考察されている点がより理解を深めさせてくれるのだと思います。そして何より、訳者による解説、訳注が添付され(原書にはない地図や邦語目録まで!)、その構造の複雑さのためこんがらがりそうな頭をきちんと整理してくれます。特に40ページ近く付された訳者解説は、現地の大学院において、アーサー氏の下で研究したという訳者ならではの詳しさで、またそこから北アイルランド問題をより多くの人に知ってもらいたいという訳者の気持ちも伝わってきました。(この解説のおかげで、私は本編をよく理解できました)

暴力と和解のあいだ 北アイルランド紛争を生きる人びと

「和解」についての優れた事例研究

(参考になった人 5/7 人)

本書は、イギリス植民地支配の負の遺産「北アイルランド問題」と「和解」についての良書である。著者(「ユン・ヘヨン」と発音する)は、まだ30代半ばの研究者である。だが、本書は、その若さの著者が書いたとは思えない、深い洞察になっている。研究者としての学問的な問題意識の高さに加えて、在日コリアン三世としての著者の、切実なアイデンティティの探求が、本書をまとめた底力になっているのかもしれない。著者は、「北アイルランド問題」の全貌とディテールを、ともに丹念に描き出している。ユニオニスト(対イギリス連合維持路線/マジョリティ)を中心に、1990年代以降の和平プロセスのなかで浮かびあがってきた「歴史」対立、「記憶」の戦いを検証する。

だが、「記憶」や「歴史」対立の問題を叙述しているだけではない。本書の最大の魅力は、ユニオニストにとって「ブリティッシュネス(Britishness)」が何を意味してきたのかという問いかけと、この問題についての執拗なまでの分析である。「和解」ということについていえば、第6章の「<和解>における不安と恐怖」はとくに示唆に跳んでいる。「不安や恐怖がナショナル・アイデンティティに回収されてしまうということを、どのように乗り超えるか。そのためにはまず、自らの内にある不安や恐怖と向き合わなければならない」と著者は述べる。単なる事例研究をこえて、著者独自の和解観が、抑えたトーンの文章から、あふれ出ているような分析である。内容の充実している分だけ、読破するのには時間が必要だが、「北アイルランド」問題についての予備知識がなくても、基本的なデータや情報が盛り込まれているので、興味を持続させながら読み上げることができる。優れた問題意識に支えられ、あくなき客観性と実証性に貫かれた本書は、「和解」についての事例研究としては、国内で最高級の作品であると思う。

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北アイルランド』の解説 by はてなキーワード

アルスター。「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」の「北部アイルランド」のこと。

アイルランド島の北部、プロテスタントが先住カトリック教徒人口比で上回る地域*1。その結果、アイルランド共和国独立後も英国領として存在している。

IRA等で知られるように、大英帝国最古にして最後の植民地

首都はベルファスト

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