モーリシャス共和国(モーリシャスきょうわこく)、通称モーリシャスは、アフリカの国家で、イギリス連邦加盟国である。首都はポートルイス。インド洋のマスカレン諸島に位置する共和国である。インド商人の貿易中継地になっていたためインド系住民が過半数を占める。
歴史
10世紀以前からアラブ人航海者たちに知られていた。15世紀にはマレー人が訪れている。
1505年にポルトガル人がヨーロッパ人としてはじめて発見。当時は無人島だった。続いて、1638年にオランダがインド航路の補給地として植民を開始、オラニエ公マウリッツ(マウリティウスを英語読みでモーリシャス)の名にちなんでこの島を命名した。17世紀にはドイツが占領、18世紀の間、フランスが支配し、フランス島と呼ばれた。1810年にイギリスに占領され、1814年にイギリス領となり旧名に戻された。イギリスの植民地時代は、モーリシャス島から北東へ約2000km先にあるチャゴス諸島と併せて統治されていたが、独立直前の1965年11月に分離され、チャゴス諸島の住人約1800人はモーリシャス島へ強制移住させられた。1968年に英連邦王国として独立を達成し、首相にシウサガル・ラングーラムが就任。クレオール人とイスラム教徒が対立し衝突が起きた。1969年にポール・レイモン・ベランジェが中心となってモーリシャス闘争運動(MMM)を結成。1992年に立憲君主制から共和制に移行した。独立以来、自由選挙に基づく民主的な政治が継続している。
政治
モーリシャスは共和制、議院内閣制をとる立憲国家である。現行憲法は1992年3月12日に制定されたもの。これにより、英連邦王国からイギリス連邦内の共和国となった。モーリシャスは中央集権国家だが、ロドリゲス島などの属領には、一定の自治権が認められている。
国家元首である大統領は、国民議会により選出される。任期は5年。3選は禁止。首相および副首相は大統領により任命されるが、国民議会に対し責任を負う。内閣に相当する閣僚評議会のメンバーは、首相の推薦に基づき大統領により任命される。大統領の権限は名目的なものであり、実質的な行政権は首相率いる閣僚評議会により行使される。
立法府は一院制で、正式名称は国民議会。定数は70議席で、うち62議席は直接選挙により選出され、8議席は少数民族の代表である。議員の任期は5年である。直近の選挙は2005年7月に行なわれた。
モーリシャスは複数政党制が認められており、政党は大きく2つの連合に分けられる。1つはモーリシャス労働党(MLP)とモーリシャス闘争社会主義運動(MMSM)を中心とする保守系の社会同盟、もう1つはモーリシャス闘争運動(MMM)とモーリシャス社会主義運動(MSM)が中心の革新系連合である。また、ロドリゲス島ではロドリゲス人民機構(OPR)など独自の地域政党が活動している。
司法府の最高機関は最高裁判所。また、警察・準軍事組織としてモーリシャス警察軍(現役総人員10,115名)が設置されている。
県と属領
モーリシャスは、9の県と3の属領に分かれる。その他、イギリスに対してチャゴス諸島の返還を要求している。
県
- ブラックリバー県 (Black River)
- フラック県 (Flacq)
- グラン・ポール県 (Grand Port)
- モカ県 (Moka)
- パンプルムース県 (Pamplemousses)
- プレーン・ウィルヘルム県 (Plaines Wilhems)
- ポートルイス県 (Port Louis)
- リヴィエール・デュ・ランパール県 (Riviere du Rempart)
- サバンナ県 (Savanne)
属領
- アガレガ諸島 (Agalega Islands) - 本島から北へ約1200km先
- カルガドス・カラホス諸島 (Cargados Carajos Shoals) - 別名、セイント・ブランドン島 (Saint Brandon) 本島から北東へ約400km先
- ロドリゲス島 (Rodrigues) - 本島から東へ約550km先
経済
従来はサトウキビおよび茶のプランテーションに依存していたが、1968年の独立後、観光業および、1971年から始まったEPZ(輸出加工区)における繊維産業を中心とする輸出型工業の発展により、堅実な経済発展を遂げ、モノカルチャー経済から脱出。
独立以前は慢性的な人口過剰に苦しんでいたが、繊維産業の急速な発展により、1980年代後半には完全雇用を達成した。しかし、その後は逆に労働力の不足に直面している。
多民族国家であり、雑多な民族構成、複雑な宗教事情を抱えるが、モーリシャスは他の国では争いの元となりがちな、その多様性を利用して積極的な外交を展開する事に成功している。インド、欧州、アラブ諸国と太い経済関係を構築し、アフリカ諸国では一、二を争うほどの豊かさを誇る。一人当たりの国民所得ではアフリカで最高水準である。
日本にとっては遠洋マグロ漁業の中継・補給基地として重要であり、ほとんど常時日本船が停泊している。
また、最近では鉄道模型用のドイツ製未塗装人形を本地で塗装して、日本に輸出している。
国際金融
モーリシャスはいわゆるオフショアないしはタックスヘイブン(租税回避地)の一種であり、インド・中国・アフリカ諸国などと租税条約を締結し国際投資のさいのタックスプランニングの中間地として利用されている。
インドについてはモーリシャスの現地居住者の会社がインドで上げた収益への課税が免除(無税)されている。このため海外からのインド投資の44.24%(2000-2007年)はモーリシャス居住者籍の投資会社からのものである。海外からのインド向け信託投信なども多く設定されている。中国については1994年租税条約によりキャピタルゲイン免税と配当課税の軽減税率適用が締約されたが2006年の改定により、大量持分(直接・間接25%以上)投資者がキャピタルゲインを上げた場合には中国での本則(10%)のキャピタルゲイン課税が行われることとなった。
国民
住民はインド系(印僑)が68%、クリオーリョが27%、華人が3%、フランス系が2%である。インド系住民の多くはかつてクーリーとして渡って来た人々で、彼らの受け入れに使われた施設の遺構アープラヴァシ・ガートは、ユネスコの世界遺産に登録されている。
イギリスの植民地であったため、公用語が英語であるものの、行政機関や学校などで使われる程度で、実際に最も話されている言語はフランス語系統のモーリシャス・クレオール語であり、90%以上の国民の母語である。多くの新聞やメディアはフランス語であり、ビジネスでもフランス語が使用される。ほとんどの国民はフランス語を流暢に話す。アメリカ映画など英語で作成されたテレビ番組などもフランス語に再録音されて放送される。
その他、ポルトガル語、ヒンディー語、タミル語、テルグ語、客家語などが使われる。
宗教は、ヒンドゥー教が52%、キリスト教が28.3%(ローマ・カトリックが26%、プロテスタントが2.3%)、イスラム教が16.6%、その他3.1%となっている。
